2026.05.12

事業承継・M&A補助金 解説|4枠の使い分け

事業承継・M&A補助金は、2026年時点で4つの申請枠があり、それぞれ目的と対象が異なります。とくに「事業承継促進枠」と「専門家活用枠」は名前から受ける印象と対象が食い違いやすく、実務で最も取り違えられる箇所です。

以下は令和7年度補正予算(14次・15次公募)時点の内容です。補助上限額・要件は公募回ごとに変わるため、申請前に必ず公募要領の最新版をご確認ください。

枠1:事業承継促進枠

親族内承継・従業員承継を予定する後継者が、承継を機に行う設備投資等を補助する枠です。

対象は親族内承継や従業員承継(事業再生を伴うものを含む)であり、M&Aによる第三者への承継は対象外です。補助対象経費は設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費、廃業費(併用時)で、M&A仲介手数料やデューデリジェンス費用は本枠では対象になりません。これらは枠2の対象です。

補助上限は800万円、賃上げ要件(従業員1人当たり給与支給総額3%以上の上昇)を達成する場合は1,000万円です。廃業費を併用する場合はさらに300万円が加算されます。補助率は小規模事業者等が2/3以内、その他の中小企業者等が1/2以内です。

枠2:専門家活用枠

M&Aの実行にかかる専門家費用を補助する枠で、買い手支援類型と売り手支援類型があります。

M&A仲介手数料、FA手数料、デューデリジェンス費用、表明保証保険料などが対象です。補助上限は600万円が基本で、デューデリジェンス費用等の上乗せがある場合は800万円、買い手支援類型の「100億企業特例」に該当する場合は2,000万円となります。

15次公募からは「小規模売り手支援類型」(補助上限450万円)が新設されました。より小規模な譲渡を検討するオーナー向けの類型です。

売り手オーナーがM&Aの専門家費用を補助してもらう場合は、枠1ではなくこの枠2(売り手支援類型、または小規模売り手支援類型)が対象になります。

枠3:PMI推進枠

M&A成立後の統合作業(PMI)を補助する枠で、2つの類型があります。

PMI専門家活用類型は、統合作業を支援する専門家の費用が対象で、補助上限は150万円です。事業統合投資類型は、業務統合・効率化を目的としたシステムの導入・最適化等が対象になり、補助上限は800万円、賃上げ要件を達成する場合は1,000万円です(800万円超から1,000万円以下の部分は補助率1/2以内)。補助率は小規模事業者等が2/3以内、その他が1/2以内です。

AI・DXによる業務統合システムの導入は、事業統合投資類型の対象として読める設計になっています。

枠4:廃業・再チャレンジ枠

事業の廃業と再チャレンジにかかる費用を補助する枠です。補助上限は300万円、補助率は2/3です。

Gluone.の活用戦略

買い手としては、専門家活用枠(デューデリジェンス費用)とPMI推進枠(AI実装を含む統合投資)の組み合わせで、買収から統合初期までの主要費用の一部をカバーします。それぞれの上限は専門家活用枠が800万円(DD上乗せ時)、PMI推進枠 事業統合投資類型が1,000万円(賃上げ要件達成時)です。

ただし複数枠の同時申請・併給には公募要領上の制約があります。単純合算した金額がそのまま受けられるわけではないため、案件ごとに併用可否を確認したうえで設計します。

売り手オーナーには、専門家活用枠の売り手支援類型、または規模に応じて小規模売り手支援類型の活用をご提案し、申請を伴走支援します。

申請タイミング

令和7年度補正予算では14次・15次の2回が実施されました。14次は2026年2月27日から4月3日まで申請を受け付け、5月15日に採択が発表されています(申請512件に対し採択311件。内訳は事業承継促進枠103件、専門家活用枠180件、PMI推進枠27件、廃業・再チャレンジ枠1件)。15次は2026年6月19日から7月24日まで受け付け、採択発表は9月中旬以降が予定されています。

事前準備として事業計画書と財務書類の整備に2〜3ヶ月、採択後の費用支出も含めると案件全体で6〜9ヶ月のスパンで考える必要があります。公募開始を見てから動き始めると間に合わないため、案件検討の初期段階から補助金の枠組みを前提に設計しておくことをお勧めします。

まとめ

4つの枠は、承継の形(親族内・従業員か、第三者M&Aか)と、費用が発生する局面(M&A実行時か、統合後か)で使い分けます。最も間違えやすいのは、M&Aの専門家費用を事業承継促進枠だと考えてしまうケースです。M&Aに関わる費用は専門家活用枠、統合後の投資はPMI推進枠と整理してください。

出典

  • 事業承継・M&A補助金 公式サイト(令和7年度補正予算) https://shoukei-mahojokin.go.jp/r7h/

  • 中小企業庁「中小企業生産性革命推進事業『事業承継・M&A補助金』(十四次公募)の公募要領を公表します」 https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/hojyokin/kobo/2026/260130001.html

※本記事は令和7年度補正予算・15次公募時点の情報です。補助上限額・要件は公募回ごとに変わります。申請前に必ず公募要領の最新版をご確認ください。

【執筆者】 Gluone. 編集部

株式会社Gluone. について

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所在地:〒107-0052 東京都港区赤坂9丁目5-26 ヴェラハイツ赤坂204
代表者:代表取締役 嶋本 凌大
設立:2024年10月15日
事業内容:AI/DX受託事業、SME買収・経営、自社プロダクト開発
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お問い合わせ:contact@gluone.co.jp

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